HOME > こだわりの一言

大工の拘りの一言

写真施工主様の立っての希望により、田舎建ちの家(外観)、と土壁使用したいという望みがあった建物だった。このころ断熱にAFボードを推奨していた私は、4寸管柱の中に(土壁、スジカイ、AFボード、壁下地、化粧部分)をどのようにして施工し、断熱をするか苦労した。土壁が断熱だから二重にボード要らないいんじゃないという思いとやっぱり必要じゃないかと思う部分で施主様や社長に時間を費やしたのを思い出します。社長との話し合いの結果AFボードつけることにしましたが、施主様のご負担にかんしても二人で予算捻出の努力をがんばったのを思い出す家です。

この家のこだわりとして外観を重視しました。焼板は色のバリエーションがすくないので杉板を塗装することにし釘打ちは化粧となる銅釘を使用することにしました。これは、すごく大変な作業で塗装は一度塗りでは、すぐに剥げてしまうだろうと、三度塗りにしたことや、この冬の時期、雪と格闘しながら作業場で塗り、晴れれば天日干しをすることなど、杉板を設置後塗装する方法もあったが細部まで塗れないとか、何よりも銅釘が塗装で隠れてしまうことから施工前に塗装しなくてはいけなかった。釘打ちも化粧の釘打ちということで手打ちを意味します。今となってはコンプレッサーで釘打機が当たり前の中、全ての釘の位置、場所にミスをし釘を打つサイディングがほとんどを占めている今、大変な作業でした。二人にブーブー言われながらやった甲斐があると信じたい。瓦工事もノシを三段以上つみ如何にどっしりとした面構えであるかがこの付近の通常です。それを止め、如何にシンプルでいて、どっしり見えるかを屋根の勾配を検討したり、色取りを変えてみたり、屋根形状を変えたりと試行錯誤し、シンプルでいてどっしりとした屋根になったと思います。在来のそのままを持ってこず、現代風モダン和風になったと思います。

構造材の多さ、改めてこの写真を見ると柱、梁、桁の多さにびっくりする。木材の材質、寸法、位置決めは、いつも私と社長とでしている。予算を重視した考えの私と建てる場所や風土を考える社長とで、意見の違いでなかなか決まらないことがある。これは母屋といわれるもの、最初に屋根を支える部材。通常最終的に母屋を支える梁や桁がある。この家に関しては斜め天井にすることから、梁がなくその代わりに通常の母屋の3倍は母屋が大きくなっている。その大きい母屋材をさらに一本で受けている部材がある。
長さ、寸法、材質、予算、平面、施工的に無垢材では難しく集成材で行くしかないとなったが集成材に抵抗がある社長は最後の最後まで無垢でいけるように考えていた。ここまで考える社長の構造に対する姿勢は私も見習う所がある。


社長が以前から押している一押し商品の一つに土壁がある。私は予算的、工期的、古臭さという所から、あまり良いとは思えない。いい機会なので調べてみることにした、私を含め意外と良さを知られていない土壁の特性として・吸収性(湿気を吸ったり、吐いたりします)・蓄熱性(一度蓄えた熱を放出、室温が安定)・遮音性(比重が大きい為音の振動を遮断)その他耐震性や土壁は燃えないや、自然素材の物、実はいろいろあります。さらに断熱を高めるためにAFボード併用となれば全てにおいてメリットだらけのようですが、やはり工期がかかったり、金銭面でなかなか手に入らなかったりとなってしまいます。最近になって新しい商品や工法により思うことですが、(土壁+AFボード)とサーモウールは全てにおいて一緒ではないですが近いものを感じてしまう。いろいろな断熱材がある中、まだまだ高額なほうですが使用する価値があると思います。